さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「昨夜は本当に大変だったね。
でも、この通り護衛を増やしたからどうか安心して欲しい」
ソリャンの優しさも笑顔も、それまでと何一つ変わりはない。
けれど、なぜか彼のまぶしすぎる笑顔では、心ははれそうもなかった。
ソリャンの視線を気にしつつ、少し離れて立っているサジに目をやる。
その様子に、ソリャンはすぐ反応した。
「そういえば、昨日はサジに助けてもらったんだったね」
そう言うと、ソリャンはサジを手招いた。
「サジ、良ければもっと近くに来てくれないかい?
レイラが安心する」
サジは軽く頭を下げて、レイラのすぐ傍まで来て膝をおった。
心の中心にある不安が消えてなくなりはしないが、
なんとなく、小さく薄くなった気がして、レイラは内心ほっと息を吐いた。
それを見透かすように、
ところで、とソリャンは手にしたパンを皿に置いた。