さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「ほら、あの綺麗な侍女の人。ご飯を一緒に食べたとかって」
レイラは自分の醜い顔を見せたくなくて、精一杯笑って見せたが、
唇の端が固まって思うような笑顔になれなかった。
サジはレイラの指す人物が、一体どの侍女の話なのか見当がつかなかったが、
自分と会っているところを見られた女だろうと当たりをつけた。
「ソリャンの妃の世話をしている侍女のことか?
口の軽い女だから、情報の入手先としてはうってつけだが。
・・・好きな人?」
「情報の入手先?」
お互い間の抜けた顔を見合わせる。
先に察したサジが、はっきりと不快を示すように眉を寄せた。
「なるほど。あの女と私の仲を勘ぐったというわけか」
「え!だ、だって、部屋に行くとかなんとか話してたし」
いくら自分が子どもだからって、それくらいわかる。
二人はどう見ても恋人同士で。
納得せずにいると、サジの唇までもがひん曲がった。