さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

ちらりとユーリの隣に立っている壮年の男に目をやると、

自分と同じようにあきれた顔が見て取れる。

男はカマラと目が合った瞬間に、心の中を読み取られたと知り、慌てて目をそらした。


「どういうこと?」


男が何も意見する気がないのだとわかって、

カマラはややきつい口調で尋ねる。


「ん~。それが連絡がないんだよね。レイラと一緒に城に入った連中から」


今朝の天気について語る農夫だって、これほどのん気な答えは返すまい。

カマラは気色ばんだ。


「いや、殺されたりはしてないはずなんだけど」


どこまでも能天気なユーリに、ついにカマラの怒りが頂点に達する。


「なんでそんなことがわかるのよ!」


「勘」


「勘ですって!!」


カマラは自分の頭をかち割りたい気分になった。

もう少し論理的な思考を持つ男だと思っていたのに。

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