さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「必ず妹を助けてくれる、って。決して私を裏切らないって誓える?」
ユーリはその真摯な瞳から逃げることはせず、
体ごとカマラの正面を向いた。
歩いて2歩の距離で、二人は見詰め合った。
活気あふれる道は、老若男女がいきかう。
その雑踏にまぎれるようにしてユーリが口を開いた。
「それは約束できない。今のところ、君と俺の利害は一致している。
だから、それが違わないうちは協力を惜しまない。
けど、例えば君がレガ国に仇なすものになるというなら、俺は全力で君らを排除する」
それは、カマラが最も欲しい答えだった。
下手に是と頷かれても、信用できるわけがない。
利害が一致するうちは手を貸してくれる、そう言われた方が、よほど信頼が置けた。
カマラは一度瞼を閉じると、意を決したように唇を引き結んだ。
「わかったわ。じゃあ、教えるから一緒に来て」
「教えるって、何をだ?」
「城への抜け道よ」
ユーリが息をのむ気配がしたが、音の波にかき消された。