さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
疲れたから少し早く眠りたい、そう言って無理やり兵士を追い出した。
侍女はソリャンの命令を厳守し、レイラを一人にはできないと押し問答になったため、
せめて数を減らして欲しいと頼みこみ、一人にしてもらった。
レイラは床に就くと、明るすぎて眠れないからと、全ての明かりを消すよう指示した。
暗いのが怖いと言っていた事を知っているのか、
侍女はわずかに怪訝な顔をしたが、すぐに明かりを落としてくれた。
・・あとはどうにかして床に伏せることができれば。
寝台の中で頭から毛布に包まると、前もって隠しておいた衣に手早く着替える。
がさごそと音がしているが、この暗さなら平気だろう。
そう思った矢先、侍女から声がかかった。
「レイラ様。どうかなさましたか?」
「なんでもないわ。寝苦しくて寝返りを打っているだけよ」
「何か、心が落ち着くような飲み物でもお持ちしましょうか?」
「ありがとう。でもいらないわ。
できれば明日の朝は、目が覚めるまで起こさないで欲しいんだけど」
レイラの真意を知らず、侍女は素直にわかりましたと返事をした。