さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
・・誰だったかしら。
頭のすぐ上にある寝台が邪魔をして、音が鮮明に聞こえない。
すぐ間近に4本の足首が見えた。
床に鼻を押し付け、どうか見つかりませんように、と祈る。
「では、参りましょう。しばらく戻ってきませんが、このままでよろしいですか?」
「かまわぬ。誰もここへは入ってこれまい」
明快だった二人の足音が小さくなり、やがて消えていった。
・・助かった。
体中から潮を吹くように染み出した汗が、気持ち悪い。
だが、そんな事を言っている場合ではなかった。
・・しばらく戻ってこないと言っていたから、大丈夫よね。
誰もいないとわかっていても、レイラの心臓は落ち着かない。
寝台の下から這い出すと、出口を探す。