さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

「それって、もしかして」


カマラが問いかけたその時、


「静かに!」


ナリがすらりと剣を抜き、中腰になって構えた。

ユーリを庇うように、左手に明かりを持ったまま進み出る。


カマラははっとした。

誰かが近づいてくる。


「カマラ、こっちへ」


ユーリがカマラの手を引き、ナリの背後へまわる。

ユーリが剣を手に取るのを見て、緊張がカマラを包んだ。


「火を消した方が」


「もう遅いよ」


ユーリのこんなにも低い声を聞くのは初めてで、

カマラは剣の柄に手をかけるのが遅れた。

< 233 / 366 >

この作品をシェア

pagetop