さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「それって、もしかして」
カマラが問いかけたその時、
「静かに!」
ナリがすらりと剣を抜き、中腰になって構えた。
ユーリを庇うように、左手に明かりを持ったまま進み出る。
カマラははっとした。
誰かが近づいてくる。
「カマラ、こっちへ」
ユーリがカマラの手を引き、ナリの背後へまわる。
ユーリが剣を手に取るのを見て、緊張がカマラを包んだ。
「火を消した方が」
「もう遅いよ」
ユーリのこんなにも低い声を聞くのは初めてで、
カマラは剣の柄に手をかけるのが遅れた。