さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
一方、ナリたちの話題に上ったカマラは、
この世の果てともいえそうなくらい荒れ果てた王の部屋を目にしていた。
倒れた燭台。散乱した紙束。
割れた皿に、果ては小さな飾り棚までが横倒しになり、その役目を放棄している。
だが、不思議とそれらは部屋の一方に面しており、
反対側にある品々は何事もなかったかのように、高貴な姿を誇っている。
・・一体、ここで何があったの?
尋常とも思えない様子に、胸の中に不吉な何かがよぎる。
ユーリたちと別れ、しばらくの間は移動しては身を潜め、追手がいないか確認する事を繰り返した。
通路のど真ん中、不自然に置かれた手燭を見つけ、
誰もいないのを確認して部屋に忍び入ったのは、ついさっきのことだ。
そこは、父から教えられた王の寝室の位置だった。
カマラは、いったん秘密の通路に戻り、先の事を考えようとして、
まだ開けていない扉があることに気づいた。