さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
危険があるかもしれないが、何かわかるかもしれない。
カマラはそっと扉を引いた。
隙間から広がる寝室と対照的な暗さに違和感を感じる。
他の部屋は最低限の明かりがついているのに。
妙だと思いつつ、姿勢を低くして部屋を覗き込む。
引き返すべきだと、頭の中で警告音がなったが、
同じくらい、ここに何かあるのでは、とカマラの勘が告げている。
・・王の寝室の隣の部屋だもの。脅しの材料になるものがあるかもしれない。
レイラを無事に見つけ出すことと、無事に逃げのびることができるかは別問題だ。
カマラは寝室の燭台を一つ拝借する。
もう一度人の気配がない事を確認すると、暗闇に滑り出した。
光がだ円状になり、足元によりいっそう深い影を落とす。
天井に届くほどうずたかく積まれた書簡の束。
壁には、ぎっしりと本や紙束が並んでいる。
・・書庫なのかしら。