さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
ざっと見回すが、特に不信そうなものは見あたらない。
意外に勉学好きな王なのだと、カマラはがっくりと肩を落とした。
部屋を出ようとして体の向きを変えた時、
カマラの肘が机の上に積まれた紙束に触れてしまった。
・・いけないっ!
慌てて支えようとしたが、あっという間に床の上に舞い散る。
一拍後、ふっと息を吐き燭台を乱暴に机の上に置いた。
急いで紙を集め、元に戻す。
順番がばらばらになってしまったが、
そのままにしておけば一瞬で不信に思われるだろう。
・・とんだ時間の無駄をしたわ。
最後の一枚を手に取り、何の気なしに目をやった。
細かな図と数字が並ぶその紙の内容はさっぱりで、
カマラは無造作に束の上に放った。
指を離したその瞬間、カマラの頭の中でパチンと音がなる。