さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
・・ちょっと待って!
カマラはもう一度紙を手に取ると、今度は燭台の真下に置き、じっくりと眺めた。
残りの紙束も同じように一枚一枚丁寧に文字を追う。
カマラは夢中で紙束を繰り始めた。
読みすすめる速度が次第に上がり、その速度にあわせて胸の鼓動が高鳴った。
今後の行動に悩んだのは数拍。
その中の数枚を手に取り、折り曲げて胸の中に丁寧にしまいこんだ。
・・ユーリは捕まってしまったのかしら。
それにしては、城の中が静かだと思う。
危険はあるが、もう一度床下へもぐることに決め、燭台を手に取った。
カマラの瞳は、さっきまでとは別人のように光に溢れている。
炎が、静かに細い黒煙をはいた。