さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
高い天井に、激しい呼吸音がこだまする。
兵士がソリャンの体を取り囲んで、すばやく剣を抜いたが、
背後から追いかけてきた相手がレイラだとわかって、命令を待った。
レイラは懸命に腕を振るが、もはや体力の限界で足に力が入らず、
がくがくと床に倒れ伏した。
「レイラ!」
兵士を押しのけ、ソリャンはレイラを抱き上げる。
「一体どうしたんだい!なぜこんなところにいるの?」
「た、すけて、下さい」
肺があげる悲鳴をなんとかおさえ、レイラはつばを飲み込んだ。
「助けてください。ハスナだったんです。私を殺そうとしたの。
今も、追いかけられて」
自分の言葉にその事実を思い出し、レイラは後ろを振り返る。
「誰もいないよ?」
ソリャンはレイラが走ってきたほうを見に行くように兵士の一人に命じると、
レイラの肩を抱き寄せ、膝の下に右手を割りいれた。