さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「まだ、とぼけるのかい?」
ソリャンはうんざりしたように、口調を固くした。
「サジはミゲルの弟子だろう。秘密の通路を使って何をしようとした?
ジマールの娘とすりかわってどうする気だったんだ!
狙いは、王?それとも僕?
きちんと答えて欲しいな」
レイラは無言のまま、ソリャンの視線に耐える。
何をどう言われても、答えようがない。
「本当はね、君がいればミゲルが出てくるだろうと思って待ってたんだ。
けど、調べたら火事で死んだって話はどうも本当らしい。
用済みになったから君には死んでもらおうと思ってハスナを差し向けたんだけど、
そしたらサジが君を助けたろう?
それで、サジがジマールの私兵ではなく、ミゲルの弟子だって気づいた」
ソリャンは早口でそこまで言ってから、急にまた優しい口調に戻った。
レイラの両手を包み込むように握りこむ。
「ミゲルが死んだ今、誰が指揮をとっているんだい?
あのサジって男か、それとも他の兵たちの中にいるの?」