さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「ばかな。どういうことだ」
ソリャンは初めて動揺を表に出し、首をめぐらせた。
「ハスナ!お前、裏切ったのか!」
「いいえ、違います!!私はソリャン様を裏切ったりなどしていません!!」
ミゲルの死の報せを確認したのはハスナだ。
ソリャンの額には青白い血管が浮き出、
体から溢れ出すありったけの力を込めて握った拳が、小刻みに震えている。
ハスナの必死の否定は、ソリャンの心を鎮めるどころか、
逆に怒りをあおっただけだった。
「なら、どうしてレイラの姉が生きている!
貴様、ひょっとしてミゲルの命令で私を見張っていたのか!
この私を長年欺いて、よくもぬけぬけと!!」
「違います!信じてください、ソリャン様!私は」
「うるさい、黙れ!!
貴様のような身分の低い女を傍に置いたのが間違いだった。
すぐに首をはねてやる!」
「ソリャン様・・・」