さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「いや、簡単に尻尾を出したのは部下ではない。
お前自身だ」
「なんだと?」
サジの言葉がよほど心外だったのだろう。
ソリャンの顔がそれまでにないほど醜く歪んだ。
だが、サジはそんなことに構わず人形のような無表情でたんたんと言葉を紡ぐ。
「レイラを狙った暗殺者が、女だとどうして知っていた?
私はそんなこと一言も言っていない。それなのにお前は言った。
レイラを狙った“女”を必ず捕まえるとな」
ソリャンは頬をひきつらせ、怒りの矛先をハスナに向ける。
「ちっ!ハスナ。お前の失態がこんなところまで尾を引いてるぞ!
殺すしか能がないくせに、それすらもうまくやれないのか、能なしめ!」
レイラが伏せていた顔を上げ、握りこぶしを作って叫んだ。
「どうしてそんなひどいことを言うの?
仲間なのに!」