さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
・・命をかけて、あなたを守ろうとしているのに!
自分を殺そうとしたハスナのことが、レイラはかわいそうでならなくなった。
こんな主に仕えて、それでハスナは幸せなのか。
「ふん、仲間だと?こいつは殺しがうまかったから使ってやっていただけのこと。
まぁいい。ここで死ぬお前たちに何を知られたところでどうということはない」
ソリャンは冷静さを取り戻し、腕組みをして背筋を伸ばした。
「誰か!誰かおらぬか!
不審な人物が侵入している!すぐに捕らえよ!!」
兵を呼ぶソリャンの透き通るような声に、レイラは青ざめた。
いくらサジが強くても多勢に無勢だ。
城の中では、偽物だろうがジウチが王で、ソリャンは王子なのだ。
あっという間に捕らえられ、皆殺されてしまうだろう。
息をのむレイラの姿を見て、ソリャンが口の端を吊り上げた。
その瞳は、獲物をなぶって遊ぶ猫のようだ。
「せっかくだから、あの男がのたうちまわって死んでいった様を教えてやろうか?
なぁ、レイラ。お前の父親の最期だ。聴きたいだろう?」