さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「ふん。女などに捕まって、まんまとここまで案内するような間抜けは不要だ」
「ひどい・・・」
レイラはかたく瞼を閉じ、両手で顔を覆った。
ソリャンの握った剣の先から滴り落ちた血の流れが、美しい白い床に赤い模様を描く。
「さて、お前たちは王を殺した罪で全員吊るし首だ。
そうだな。女は減刑してやってもいいぞ。
城の兵士どもの夜の相手をするなんていうのはどうだ?」
ククククという音がソリャンの口元から漏れて、
とうとう我慢できずにレイラの瞳が潤んだ。
一時とはいえ、こんな人間に惹かれていたなんて。
自分が情けなかった。
そのとき、
「もういい。その下品な口を閉じろ」
まるで感情のこもらない、棒読みのようなサジの一言があたりに広がった。