さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
気配に振り返り剣を構えたカマラは、その男が見知った顔であることにほっとした。
「カマラ!無事か?」
「ユーリ!捕まったんじゃなかったのね!」
「俺がそんなドジなわけないだろ。あ、ついでにサジも無事だな」
サジを視界の端にとらえたユーリは安堵のため息をつき、
茶目っけたっぷりに笑おうとして止まった。
いつもと変わらぬサジの無表情。
しかし、それはいつもとは違った。他の誰にもわからなくても、自分にはわかる。
ユーリはサジの視線の先にあるものをとらえた。
明るい金髪の男が、無言のまま女を抱いて床に座り込んでいる。
年恰好から見て、それがソリャン王子だと踏んで、ユーリは状況を察した。