さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
レイラが政事などとれるはずもない。
カマラは、後ろ盾のいる妃たちだと面倒だからと、
家臣たちがレイラを傀儡にして国政を牛耳るつもりなのではないかと考えていた。
ため息交じりに、レイラは空を眺めた。
青く澄んだ空とは対照的な、先端が黒く焼け焦げた城の跡が目に入る。
初期消火が功を奏し、城の中は一部を除き使用できるくらいには修復作業が進んでいる。
しかし、レイラは城の中に入る気がせず、
少し離れたこの静かな離宮で寝泊りしていた。
・・サジ。本当に、レガ国に帰ってしまうのかしら。
あんなに近くにいたのが、遠い昔のような気がする。
本当は分かっている。
自分が沈んでいる理由が、国を継ぐからということだけではないこと。
『そろそろ帰国しようと考えている』
そう告げられたのは、昨夜のこと。
レイラにとっては、晴天の霹靂だった。