さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

「誰のこと考えてるか、当ててみようか」


いつの間にか、目の前にカマラが立っている。

いたずらっ子のような眼をして、微笑んだ。


「サジさんのことでしょ」


「えっ!ち、違うよ!」


言葉では否定したが、顔の熱が上がるのが自分でもわかる。

これでは、そのとおりですと肯定したも同然だった。


カマラの顔を見れば、やっぱりね、というように全開の笑顔を浮かべている。


「な、なんでわかったの?」


「そりゃ、あなたの姉だからね」


行く先々でサジを目の端で追っている妹の様子から、

そんなことは一目瞭然だった。


自分がレイラ同様、無意識にサジの隣にいる男の姿を探しているからすぐにわかったのだということには気づきもせず、

カマラは、年上の姉らしくやさしくレイラの肩を抱き寄せた。

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