さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
鳥のさえずりが、穏やかな朝の到来を告げる。
レイラはだるい体を起こし、澄み渡った朝の空気を思い切り吸い込んだ。
しかし、それはレイラの肺を満たしたかと思った瞬間すぐに、はぁ、と重く吐きだされた。
・・とうとう、朝になっちゃった。
見事な青空が、寝台の上からでもはっきりと見て取れる。
サジたちの出立は早朝と聞いている。
こんな風にほとんど眠れずに過ごす夜は、姉と再会してから一度もないことだ。
・・やっぱり、もう一度会いたい。
会って、ちゃんとさよならを言わなきゃ。
レイラはばね仕掛けのようにはね起き、急いで身支度を整えた。
部屋から出ようとした時、不意にどこからかカツカツという物音が聞こえた。
その気配に振り向き、窓際に目をやる。
どうやら誰かが馬に乗っているらしい。
こんな朝早くに一体誰だろう。
レイラは近づいてくる男の顔を判別しようと凝視して固まった。
銀色の髪が、朝の陽を浴び、まぶしいほどの光を放っていた。