さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
吐きだしてしまった言葉をいまさら元には戻せない。
今度も冗談だと笑われたら、信じてもらうまで何度も繰り返そうとユーリは思った。
でも、拒否されたら。
カマラは唇をわずかに開いたが、無言のままユーリと視線を合わせた。
そのまま時間がとまったように、お互いを見つめる。
・・だめ、か。
カマラの表情は、好きな男に求婚されて喜んでいるそれではない。
「口づけてもいいかな?」
どうせふられるなら、最後に口づけくらいしたいと、
カマラの赤い唇を見ていたユーリは、願望を口にした。
とたんに、カマラの頬にさっと朱がさす。
「ば、ばかっ!
そういうことは口にするもんじゃないでしょ!!」