さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
「まず、好きとか告白するのが先でしょうが!」
「好きだ」
「あ、あなたねぇ!」
「・・・好きだ」
カマラはうっと押し黙った。
なんだか有無を言わせぬ迫力のようなものがある。
目の前の、頓珍漢で、頼りなげな男から。
・・なにどきどきしてるのよ、私ったら。
はっと顔を上げると、いつの間にかユーリに距離を詰められている。
伸びてきた腕に肩を抱かれると、見た目よりも意外にがっしりした体つきだとわかる。
自分より、ずっと形の良いユーリの唇がふってきて、
カマラは思わず抵抗せずに目を閉じた。
甘い唇に酔いながら、カマラは思った。
軟弱そうなふりをして、こんな卑怯な手を使うなんて、後で思いっきりなぐってやろう。
出立準備を終えたままいつまでも戻らないユーリを探すレガ国の大勢の兵に、
決定的瞬間を目撃されたことを知り、カマラが盛大な悲鳴を上げるのは
それからわずか数泊後のことであった--。
(つづく)