さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
大きなレンガづくりの建物は、整然とした街並みの真ん中に溶け込むようにあった。
そこから放射線状に、何本かの大きな道が分かれており、
その周囲には、計画的に建物が配置されている。
その古いレンガづくりの建物がレガ城であると知った時、
レイラはリア国とのあまりの違いに、目をまるくした。
「本当にこれがお城なの?だって、城壁もないわ」
確かに、対称に作られた建物は優雅だったし、ちらほらと兵の姿もある。
大きさからも普通の民家でないことはあきらかだったが、
リア国の何重にも囲まれた高い塀と、入国するために何度も受けた検査に比べれば、
レガ国の防備は、あまりにもあっけなかった。
「私の国では、どんな民でも受け入れるのが基本なんだ。
許可をとれば定住も可能だ。
異国の民のさまざまな技術を発展させた方が、のちの国益につながるからな」
「でも、攻め入られたりしないの?」
「城へ通じる道は8本ある。
その道の両端にある家々は、一見ただの家に見えるが、
すべて兵の宿舎と見張りも兼ねた防壁になっている。
閉ざされた城は堅固だが、取り囲まれれば籠城するしかない。
レガ国は、城と街の境界があいまいなうえ、広大すぎるから取り囲んで攻めるのが難しいんだ」
サジの言葉の半分も理解できなかったが、
彼の言うことなんだから正しいのだろうと頭の隅で納得した。