さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

後見人に挨拶をすると言われ、レイラはサジにつれられて城へと足を踏み入れた。

待たされたのは、兵が入口で見張りをしている何もないかなり広い部屋で、

やはりリア国の豪華さとは雲泥の差だったが、どうみても公的なものに思えた。



・・サジの後見人って、お城にいる人なんだ。

身分の高い人なんだわ。



あっさりと城の中へ入ることができたことからも、サジ自身、相当高い身分なのだろう。

その後見人に、挨拶などと一体何を言えばいいのか。

別に愛を誓い合ったわけでもなく、それどころか自ら望んでさらわれてきたのだ。



・・サジは、私のことをどう思ってここへ連れてきたんだろう。



二人だけの旅で、前よりも親密になれるかと期待したものの、

むしろ一定の距離を置いているようなサジの態度は相変わらずで、

レイラは拍子抜けした。



・・お姉ちゃん、今頃心配してるだろうな。



自分の母代りだった姉が、急に恋しく思えた。




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