さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
やれやれ、とサジは自嘲した。
・・知らぬ間にずいぶんと溺れていたんだな。
サジは、レイラの後頭部を腕で固定すると、
かわいらしい唇を自分のそれでむさぼるように塞いだ。
「さて、これで、信じる気になったか?」
長い口づけの後、自分に体をゆだねているレイラに口の端が上がる。
耳たぶに一つ口づけを落とすと、艶やかにささやいた。
当の本人は、サジがそんな風に笑っていることに気づく余裕すらなく、
力の抜けた体で必死に息継ぎをしている。
「やっぱり夢の中に、いるみたい」
ぼんやりとつぶやくと、頭上でクスリと笑う声が落ちた。
その声で、ふと我に返る。
レイラは急に恥ずかしさがこみ上げ、熟れすぎた桃の様に真っ赤になった。