さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

やれやれ、とサジは自嘲した。



・・知らぬ間にずいぶんと溺れていたんだな。



サジは、レイラの後頭部を腕で固定すると、

かわいらしい唇を自分のそれでむさぼるように塞いだ。


「さて、これで、信じる気になったか?」


長い口づけの後、自分に体をゆだねているレイラに口の端が上がる。

耳たぶに一つ口づけを落とすと、艶やかにささやいた。


当の本人は、サジがそんな風に笑っていることに気づく余裕すらなく、

力の抜けた体で必死に息継ぎをしている。


「やっぱり夢の中に、いるみたい」


ぼんやりとつぶやくと、頭上でクスリと笑う声が落ちた。


その声で、ふと我に返る。

レイラは急に恥ずかしさがこみ上げ、熟れすぎた桃の様に真っ赤になった。


< 343 / 366 >

この作品をシェア

pagetop