さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

サジの言葉が示すように、カマラは、レガ国とリア国とで行われるヴィシュー湖の使用協定に関して、

レガ国を代表してユーリとともにリア国を訪れていた。


したがって、決して遊びに来たわけではないのだが。


「サジってば!お姉ちゃんは、私のお見舞いに来てくれたのよ。

それに、体調はもう平気だから」


「信じられんな」


目の前で繰り広げられる二人の仲むつまじい様子に、

カマラは安堵の表情を浮かべた。


「遅くまで王のお部屋にお邪魔いたしまして、大変失礼いたしました。

お二人の仲が変わることなくよろしいようで、私も安心いたしましたが・・・、

王に対して、そのような乱暴な扱いは、次回からは控えるべきでしょうね」


頭を下げると、目を合わせることなくカマラが歩き出す。

その慇懃な態度がひどく冷たく思えて、レイラはどきりとした。


が、部屋を出る瞬間、

カマラは、振り返ると、口の端をにやりとあげた。


「王は、もう王お一人だけの体ではございませんから」







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