さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「笑うな」
拗ねたような声が、頭の上から落ちてくる。
それでも笑い続けていると、ふいに頬に指が伸びてきた。
強制的に上を向かせられると、青銀の瞳が自分を飲み込みそうなほど鋭く見つめている。
「わ、ら、う、な」
その言い方がなんだか子供のようで、レイラは余計に笑いを誘われた。
「それ以上笑うと、実力行使に出る」
「え?」
一瞬、笑いがとまる。
サジは宣言通り、というか、笑いが止まったにもかかわらず、
レイラの背に回していた手を後頭部に移動させると、
そのまま包み込むように唇を重ねた。
いつもよりも短い口づけ。