さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「体を大事にしろよ」
風にさらわれそうなほどのかすれた声が、レイラの耳に届く。
ひどくさびしがり屋で、ひどく子供っぽくて、
ひどくやきもち焼きで。
そして、ひどくやさしくて。
短い口づけは、きっと彼なりの気遣いなのだろう。
そんなサジの姿を知っているのが自分だけなのだと思うと、自然に笑みがこぼれた。
サジの背に腕をまわして、レイラはゆっくりと頷いた。
・・この幸せが、ずっと続きますように。
心地よい体温と、いつもよりも柔らかなサジの拘束を感じながら、
レイラは輝く未来を想像してそっと目を閉じた--。
(おわり)