さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
・・サジさんも、ユーリさんも、多分悪い人じゃないわ。
ジマールのところで受けた扱いに比べれば、
ずっと人の血が通っている印象がある。
サジの手のぬくもりを思い出し、
レイラは自分の勘と心を信じようと誓った。
ユーリと交わした協定は、
“お互いの正体をばらさず、それぞれの立場を演ずる”
“お互いのすることには関心を持たない”
“万が一、不測の事態が起こっても、知らぬ存ぜぬで通す”
の3つだ。
選択の余地は無論なく、半ば強制的ではあったが、
どちらにしてもレイラにとっては同じことだった。
むしろ、リア国に敵対しているという彼らを味方につけたほうが、
家族を救い出す機会が巡ってくるような気すらした。