さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
ふいに、レイラの視界の隅で長い銀糸が光って見えた。
「あ、あの!」
馬車の窓から目指す人物に声をかける。
「私、サジさんたちのこと、信じて協力します。
それと、父や姉のことも信じます!
皆、理由もなく人を襲ったりしません。
もしも本当に盗賊だったとしても、きっと何か、隠された事情があるんです。
だから私、なんとしても皆を助けて見せます!」
前触れなく鼓膜を打ち鳴らした懸命な声に、
サジが二度瞬いた。
・・うそ!?今、笑った?
わずかにあがった口角が、一瞬だけ見えた気がする。
確認しようとレイラが凝視した時には、
すでに彼はいつもの冷静な表情を向けていた。