さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
頑張れと、そういわれた気がして、
レイラは体の奥底から力がみなぎるような感覚を覚えた。
勇気をくれたその人物は、すでに何事もなかったように前を向き
レイラに端正な横顔を向けている。
馬の歩にあわせて、艶やかな髪がさらさらと移動を繰り返す。
ひどく嬉しさがこみ上げて、
レイラは久々に自然と頬がほころんだ。
その花のような笑顔がしぼんで消えていくのに、
長い時間はかからなかった。
その日の夕刻、一行は目指すリア国城にたどり着いた--。
(つづく)