さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「こちらでお待ちください」
通された部屋の想像以上の広さと豪華さに、
レイラはぽかんと口を開いて首をめぐらせた。
自分の家が丸ごといくつもはいりそうな、高い天井。
目がつぶれそうなほどの輝きを放つ、金銀の装飾品。
足元に目を移せば、
踏むのがためらわれるほど、ふかふかの敷物で埋め尽くされた床がある。
緊張も忘れ、レイラは思わず感嘆のため息をついた。
・・街や城の概観は寒々しくて要塞のようだったのに、中はまるで違うのね。
驚きを通り越し、レイラはただただ唖然とした。
このリア国の城は、城下街をすっぽりと覆うように、ぐるりと高い塀が取り囲み、
東と西にある二つの門が、街へ通じる唯一の通路だ。
その門は朝夕に開閉され、通行許可証を持ったもののみが通り抜けることができる。