さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
その門を通過するさいには、人ばかりでなくあらゆるものを調べられる。
王子に輿入れするレイラたち一行でさえ、荷の中身を徹底的に確認された。
レイラは、サジたちが自分の従者に化けたがった理由が飲み込めた。
何がしかのつてがなければ、街に入ることさえ困難なのだ。
そして、その街の中心にそびえたつ城に入るのは、さらに厄介だった。
城の周囲は、それを取り囲むように堀が掘られ、
堀には、まるでとうとうと流れる河のように、豊かな水が引かれている。
城へ入るには、城側から跳ね橋をおろし、
そこを通らなくてはならなかった。
当然、そこには城の門衛がおり、
レイラたちはそこで二度目の身体、荷物検査を受ける羽目になった。
とにかくレイラには初めてのことで、
これが城というものなのかと、すべてに圧倒されっぱなしでいたために、
サジたちが素直にリア国の兵士の指示に従いながらも、
鋭い目で油断なく辺りを窺っていることになど、
到底気づくことはできなかった。