さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

「ユーリよ、よくぞ戻った。

それで良い報せを運んできたのか?サジの姿が見えないようだが」


すらりと背の高いその男は、リア国の隣にあるレガ国の城の主だ。

人払いをした部屋に二つの人影。

王の前に背を縮めて立っているのは、レイラの家族を助けに行ったはずのユーリ。


「はぁ、それがその」


歯切れの悪いユーリの言葉に、レガ国王は眉間に皺を刻んだ。


「なんだ。悪い方の報せか。

まぁ、いい。話せ」


「はい。実は」


ジマールが無関係な少女を娘の身代わりに仕立てたこと、

自分たちはそれを本物と思って、計画通り入れ替わったこと、

さらに、彼女の家族がとらわれの身であり、

自分は彼らを救出するために、いったんレガ国に戻った事などを

つらつらと申し述べた。



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