さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
王はそれらを黙ったまま聞き終えると、ふん、と鼻を鳴らす。
「つまり、大事な任務を放り出して、
盗賊を助けるためにわざわざ舞い戻ったというわけか」
「申し訳ありません」
椅子の背深くもたれると、王は盛大なため息を披露した。
「全くお前は、しようのないやつだな。
もういい。好きにしろ」
だがな、と言って王は椅子の肘掛に肘をつき、痛む頭を支える。
「決して目的を忘れるなよ。
お前たちは」
その先を続けるはずの言葉を奪い、ユーリは胸をそらして発言した。
「お前たちは、リア国が、
我が国との間で結んだ“ヴィシュー湖における使用協定”をきちんと守っているかを探れ。
そして破っていた時は、その確たる証拠を見つけて来い。
ですよね?」