さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「わかっていれば良い」
言い出したらきかない男である事を、王はよく知っていた。
半ばあきらめたように、口を開く。
「で?帰ってきた理由はなんだ。
報告だけしに戻ったわけではあるまい」
予想はついていたが、ユーリが言い出しやすいように話をふってやる。
にへら、と真剣な表情を崩し、ユーリが頭をかく。
「実は、ちょっとばかり兵をお貸しいただきたいと思いまして」
案の定のユーリの願いを、王は議論も交わさず首肯した。
「お前の剣の腕では、到底リア国の兵とまともには太刀打ちできんからな。
賢明な判断だ。
腕の立つ連中をつけてやるから、さっさと状況を打開してサジの元へ戻れ」
「ついでに、助け出した後、彼らをレガ国でかくまっていただければ、
私もすばやくサジを助けに戻れるのですが」