ふたつの想いが重なるころ
ふたつの想いが重なるころ
あたしは澤田夕陽(さわだゆうひ)。
19歳。
あたしは新幹線に揺られて、大阪を目指していた。
中2の夏まで住んでいた街。
親の仕事の都合で東京に行ってからは、
一度も帰ることのなかった街。
帰らなかったのではない。
帰れなかったのだ。
大阪を離れる前に目にしてしまった光景が、頭からずっと離れなかった。
5年経って、やっと帰る決心がついて今に至る。
5年ぶりに見る大阪の街は、なんとも言えない切なさを生んだ。
新幹線を降りてホームに立つと、
耳元がざわざわと騒がしくなった。
同じ方向に流れていく人達。
切なさが募る。
なぜか分からんけど、心の中が寂しくなった。