【短】偽りのチョコ
「なんか…その顔、すんごいムカツクんだけど」
あたしの睨みに、勇汰が肩を竦めた
「んじゃ、俺は帰るかな。後始末は、俺がやっておくから。勇汰は家に帰りなさい。お母さんが心配してたよ」
「母さんが? んじゃ、帰る」
素直に返事をする勇汰にがくっと肩が落ちた
マザコンか?
勇汰の父親が車から降りてから、勇汰が車に乗ってくる
静かにドアが閉まると、車が発進した
「…で? なんで車を廃車寸前に壊したのよ」
「馬鹿に車は必要ねえよ」
「は?」
勇汰が、指先であたしの頬をツンツンと叩いた
「あんたの友人のここが腫れてた。男に殴られたんだろ? 車に傷をつけられて怒るくせに、女に手をあげて顔に傷をつくる男にどんな価値があると言うんだよ」
勇汰の顔が、なんか急に大人の男に見えた
勝気に微笑む姿が、ちょっとだけ…そう、ちょっとだけ頼りがいのある男に見えた気がした
中学生の子供だけど!
「なかなか…良いヤツじゃん」
あたしがぼそっと褒めると、勇汰があたしの髪をぐじゃぐしゃに撫でた
「ちょ…と、何すんのよ」
「別に」
「で、あんた…中学何年?」
「3年」
「マジで?」
3歳も年下なの?
信じらんない
「どうして今日は学校に行ってないのよ!」
「は? 今日はバレンタインじゃん。学校に居たら、うぜえだろ。チョコなんて、いらねえよ」
は? こいつにもチョコをくれる女がいるの?
あたしの睨みに、勇汰が肩を竦めた
「んじゃ、俺は帰るかな。後始末は、俺がやっておくから。勇汰は家に帰りなさい。お母さんが心配してたよ」
「母さんが? んじゃ、帰る」
素直に返事をする勇汰にがくっと肩が落ちた
マザコンか?
勇汰の父親が車から降りてから、勇汰が車に乗ってくる
静かにドアが閉まると、車が発進した
「…で? なんで車を廃車寸前に壊したのよ」
「馬鹿に車は必要ねえよ」
「は?」
勇汰が、指先であたしの頬をツンツンと叩いた
「あんたの友人のここが腫れてた。男に殴られたんだろ? 車に傷をつけられて怒るくせに、女に手をあげて顔に傷をつくる男にどんな価値があると言うんだよ」
勇汰の顔が、なんか急に大人の男に見えた
勝気に微笑む姿が、ちょっとだけ…そう、ちょっとだけ頼りがいのある男に見えた気がした
中学生の子供だけど!
「なかなか…良いヤツじゃん」
あたしがぼそっと褒めると、勇汰があたしの髪をぐじゃぐしゃに撫でた
「ちょ…と、何すんのよ」
「別に」
「で、あんた…中学何年?」
「3年」
「マジで?」
3歳も年下なの?
信じらんない
「どうして今日は学校に行ってないのよ!」
「は? 今日はバレンタインじゃん。学校に居たら、うぜえだろ。チョコなんて、いらねえよ」
は? こいつにもチョコをくれる女がいるの?