【短】偽りのチョコ
「マジで? イチゴがフラれるなんてウケるんだけど」

学校帰りの歩道で、モモがお腹を抱えて笑う

「お金…平気?」

ミカンが心配そうな顔をして、あたしの頭を撫でてくれる

「ああ、もー、サイテー。チョコの無駄買いって気がする。お金がないのに」

あたしは頬を膨らませると、ドスドスと足に力を入れて歩いた

「カラオケ行く?」

「行かない…てか、金が無い」

あたしは、モモの誘いを不機嫌な声で断った

「モモの知り合い呼ぶっていう手があるよ?」

モモが携帯のストラップを持って、あたしの眼前で揺らした

「5分で来るなら」

あたしは唇を尖らした

この際、遊ぶ金を出してくれる男がいるなら誰でもいいや

財布が空っぽになる前に、次の鴨をモモの知り合いで穴を埋めよう

「よしっ。今日はこのままコンパだよぉ!」

モモが嬉しそうに叫ぶと、携帯に耳をつけて相手を呼び出していた

真面目くさった男より、少し女慣れしている男のほうがきっと扱いやすいんだろうなあ

あ、そっか

あたし、オジサンばっか相手してたから、同年代の男子の心理って良くわかんないんだ

だから、今日の告白は失敗したんだな

ま、あの男は諦めて、新しいのヤツを探さないと
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