ビターラヴ
「だって、そうしたら私が作ったケーキ食べてくれるんでしょ?」
「素直だなお前」
恭介が食べてくれる。
今まで一度もそんなこと言ってくれなかったたから嬉し過ぎる。
「ほら、ケーキ持っこっち来いよ」
「う、うん」
恭介がゴロゴロしていたベッドに近づく。
どうしよう。
嬉しすぎて心臓がドキドキと大きくなる。
そう考えていたら恭介がいきなり私の手を引いた。
そのため恭介に寄りかかるような体制になってしまった。
「ちょっと、恭介っ」
「ハッピーバレンタイン……加那」
そう呟いた恭介の言葉はなによりも甘かった。
熱を持ってしまった自分の体が溶かされてしまいそうなほどに――。
End.