【KK2】 お化け団地
小学生の頃は名前を呼んでいた友達も、中学に入ると名字を呼び捨てにし……成人式なんかで久しぶりにあった時には、よそよそしく、さん付けしたりする。
俺にしても、彼女にしてもそうだった。
まぁ、彼女との関係は中学途中までは友達ではあったけれど、今立つ…このお化け団地が取り壊される少し前に他県に引っ越してしまい、あの事故で運ばれてきた時まで会うことはなかった。
「……私ね、この団地が好きだったの。お父さんがいてお母さんがいて、狭くても温かい家族で……本当に幸せだったんだ」
彼女はそう言うと、再び先に空しか見えない方へと向き直った。
「だから、その一番幸せだった時にもう一度戻ってから……逝こうと思って」
……俺はその彼女の意識に入り込んでしまったと言う事なのだろうか。
それとも、逝こうとしていた彼女の魂に捕まり、俺もそっちに逝かされようとしているのだろうか?