【KK2】 お化け団地
俺はご丁寧に、10まで数えてから屋上の扉を開け、薄暗い階段を降りた。
とりあえず、1階だけ下に降り、L字の直角にあたる部分にある踊り場へと向かった。
そこから下を覗けば、団地の共同部分である通路を走る姿が少しは見えるだろうと思ったから。
そう思いながら団地の通路を走りながら、踊り場に向かっている時、ある事に気がついた。
背が低くて転落防止用の手摺りより上に頭が出る事がなかった。
……やばい、これじゃ見えない。
走るのを止めて、落胆した時だった。
―― チリン……
吉沢 ユウコの鈴の音が、近くから聞こえた。