【KK2】 お化け団地






……?






彼女は、俺が近づいている事に、気が付いていないようだった。




足音が聞こえないわけがないし、目の端に姿が入らないわけもない。






なのに、吉沢 ユウコはピクリ…とも動くことはなく、ある一室を眺めていた。








「捕まえた」






俺は、とにかく彼女の腕を掴み、そう告げた。




彼女はその言葉に弾かれたように、振り向いた。




その瞳には涙が浮かんでいた。










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