【KK2】 お化け団地






「私……負けちゃったね」






彼女は、涙を零しながら笑顔を見せた。




俺は、その笑顔をどう受け取っていいのかわからなかった。






「ここ、団地がなくなる少し前まで、私が住んでいた所なの」






俺から視線を外し、彼女はその部屋の表札に目をやった。




そこには、『吉沢』と手書きで書かれた茶色く色褪せた紙が貼られていた。









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