【KK2】 お化け団地
「……お母さん」
彼女は首から掛かっている鈴を手に取り、それを見つめながらそう呟いた。
「それ、お母さんがくれたの?」
「ん……」
彼女はそれだけを発した。
「じゃあきっと神様じゃなく、お母さんが生きて欲しいから俺を呼んだんだね」
こんな体験をしなきゃ、そんな事、考えもしなかっただろう。
死んだ人が守ってくれるなんて、患者を勇気付けるために言う事はあっても、本気で信じていたわけではなかった。