【KK2】 お化け団地
でも今回の事で、これから先、もっと患者の事を考えられるようになるだろう。
いや、現実の世界に帰ったら、そんな医者に改めてなりたいと思う。
「吉沢さん、帰ろう?」
自然に口から出た言葉だった。
「私でも……幸せにれるのかな?」
彼女はお母さんに問うように、鈴に向かって語りかけた。
俺はそれには答えなかった。
その代わり……そっと彼女の手を握った。
きっと、彼女のお母さんが答えてくれているだろう。
幸せになれる……と。