【KK2】 お化け団地




「サトル……」




俺は、そう呟きサトルを見て固まっていた。






サトルは小学生の時からの友達。




タカシもだ。




サトル同様、日焼けした肌。




軽くクセのある茶色い髪。




学校に行き、お腹が空くまで外で遊び、たまに喧嘩なんかもして、一緒に成長していった親友だ。








そう……一緒に成長していった、はず。








なのに、目の前にいるサトルとタカシは、小学生だった。






「なんで……お前ら……」




それ以上、言葉を口にすることは出来なかった。




サトルやタカシだけが成長していないわけじゃなかった。




俺自身もまた小学生だと気付いた。






声変わりする前の自身の声。




丸びを帯びた指。




低い鼻に、まだ髭なんか生えたことすらない、すべすべの顎。








全てが、あの頃に戻っていた。








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