キミに極上の恋物語を
妄想少女に甘いときめき
『ま~たケータイ見てる』
『え、や…やだっ』
いきなり降ってきた声に驚いて、私が慌ててケータイを後ろに隠すと、彼は少し得意げに笑って、足元のボールを軽く持ち上げた。
太陽を背にしたくせ髪が、光るようにそのシルエットのラインを描く。
『なんだよ、隠されると余計気になるだろ。だいたいお前いつもここ来てるけど、いったい何やってんの?』
『なんでもっ…ない、です』
話しかけてきたのは、サッカー部のエース的存在。
目立たない私なんかとは、関わる機会さえありえない人。
でも……、密かにドキドキしながら、ずっと私が見つめてきた人。
『……ふーん。でもこんなとこにいたら、いつボール飛んでくるかもわからないぜ。とくにそうやって画面ばかり見てたらな』
『あ、はい。すみません』
『いや、別に謝る必要ねーけど。でもたまにはオレのことも見てろって感じ』
『え?へっ、あの…』
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