キミに極上の恋物語を


自分でもよくわかってた。

どうして私の小説には、物足りなさが残るのか。



好きというだけの想いなら、切なさも楽しさもいくらだって書けるけど、私はその先の甘い雰囲気を書くのが苦手だったんだ。

男の子と付き合った経験もないからって、妄想の中だけで進めた先を描いても、やっぱりそれには、現実味が全然足りてないから。



「早く放課後になんねーかな」



風に吹かれた爽やかな横顔に見とれる。

こういう場面でも、顔が引きつるどころか、心臓さえ壊してしまいそうな私は



「ところでさ、お前いつになったらオレのものになってくれんの?」

「へっ…へっっ!?」



いつも必死で、冷静さを保つのに精一杯で



「プフっ、おもしれぇよな華は」



こんなふうにからかわれても、それに冗談で返す心の余裕すらない。



「な、なんでそういうこと平気で言えるのっ」






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